Kotaro Tanaka “Solidus”

2021年2月9日18時、Bandcampにて田中の4作目となるソロアルバム『Solidus』(読み:ソリダス)をリリースします。
作品に関する詳しい情報は下記をご覧ください。

 

Kotaro Tanaka(しゃしくえ)によるソロアルバム『Solidus』。およそ5年半ぶり・4作目のソロ作品となる今作は、過去4年あまりのあいだに作り溜められた未発表音源などを中心に、全29曲で構成されるカオティックなアルバムとなった。全収録曲のプロデュースおよびエンジニアリングを田中が手がけ、ゲストとしてしゃしくえのメンバーである大福(ヴァイオリン、コーラス、リーディング)が参加。また、田中の祖父(故人)が1997年に自費出版した著書『七十歳の履歴書』の文章が2つのトラックに引用されている。
今回のアルバムでは、習作と完成作品の中間を漂うような断片的なトラック群が、固体と液体の境界線を示す「Solidus(=固相線)」という言葉の元に束ねられ、その狭間を縫うようにして田中自身のルーツに関する半自伝的な要素が随所に織り込まれている。現在29歳で、2ヶ月後に30歳を迎える田中にとって、本作は20代の締めくくりとなるアルバムであり、タイトルにはそのような「人生の分水嶺」としての意味合いも込められている。本作のリリースに際し、田中は以下のステイトメントを記している。

 

*
東京で15年くらい、自分なりに音楽に取り組んできた。

たまに誰かから「映像(やその他の何か)につける音楽を作ってくれないか」などと言われることがあって、そういう時は意気揚々とサンプル音源を作って送ったりしてきた。

それらが何かに結実することもあったが、ふと気が付くとそんな話自体が元から存在しなかったかのように、いつのまにか無言のうちにどこかへ消えている、ということも少なくなかった。言うまでもなく、そんな時はパッとしない気分になる。

何か止むを得ない事情があったのかもしれない。自分の音楽性が気に入られなかったのかもしれない。単に相手がテキトーな人だったのかもしれない。理由はいろいろ想像できるが、深く考えることは基本的にあまりない。音楽活動をしてきた中で、そのようなパッとしない出来事はよくあることだったからだ。

でも、そうやってお蔵入りになってきた音源の中にも、改めて聴き返してみると「少し面白いかもしれないな」と思うものがある。ちゃんと時間をかけて制作したアルバムの音源よりも、むしろ生々しい魅力を持っているように感じられることもしばしばある。試作品や制作の途中段階のものの方が、完成された作品よりも興味深い側面を見せてくれる、ということは音楽に限らず様々なメディアの作品に起こり得ることだと思う。

今回のアルバムには、そのようなサンプル音源(あるいは、ボツ音源)などをそのまま収録したものや、それに少し手を加えたものなどが多く含まれている。自分にとって「生々しい魅力」や「興味深い側面」を持っているこれらは、同時に、僕自身のパッとしない音楽活動の履歴を象徴しているようでもあり、自分にとっては愛すべきものだ。ある意味では自分の本質に最も近いものを示しているともいえそうなこれらの音源を含んだ今回のアルバムを、自分の20代最後の作品として提出したいと思った。そして言うまでもないことだが、パッとしていようが、パッとしていまいが、この先も、様々な意味で、自由に音楽を作っていくつもりだ。


2021年2月7日 / 田中耕太郎

Information
Track List
1. Sketch For The Solidus
2. A Song For My Songs
3. Pachypodium Gracilius
4. ポテト人間
5. 1つの憶測にすぎないとしても
6. The Mist
7. 小さな溶鉱炉
8. ら・ら・ミュウのピアノ(To: Furukawa-san)
9. 物語の中盤で
流れる音楽
10. 氷だけが(Re: Pocopen-san)
11. Sketch For A Hair Salon
12. Earthbound Abe
13. 1970年、将来の夢
14. For My Dear Double M
15. Patriot Songs About Her
16. Sketch For The Exit
17. Night Workers(1st Sketch)
18. 1997年、退職して
19. トゥルーマン・ショー
▼Bonus Tracks▼
20. [blank track 1]
21. [blank track 2]
22. [blank track 3]
23. [blank track 4]
24. [blank track 5]
25. [blank track 6]
26. [blank track 7]
27. [blank track 8]
28. Sketch For A Bonus Track
29. 氷の宇宙船(2021)
an ear / AED‑003 / ¥900〜 
2021.2.9 Bandcampにてデジタルリリース
(日本時間18:00)
[購入特典]
・上記のボーナストラック×10曲(そのうち8曲は空トラック)
・田中による20000字の
副読PDF『ほじくりだされた貝』
お問い合わせ:buzzpixy [at] gmail.com

 

▼アルバム収録曲「Earthbound Abe」を公開しています。▼
The Paintings : 安部悠介 Yusuke ABE

 

▼アルバムのダイジェスト動画を公開しています。▼

 

▼Bandcampで全曲ストリーミング配信&ダウンロード販売を行なっています。▼
田中耕太郎 Kotaro TANAKA

1991年東京都出身。2007年に結成したバンド「しゃしくえ」で2枚のアルバムを発表。ソロ名義で4枚のアルバムを発表。2012年からバンド「俺はこんなもんじゃない」にギタリストとして参加。そのほか展覧会や映像作品などへの音楽提供や、他アーティストのサポート演奏、レコーディングやミキシングのエンジニアリングなども手がける。

大福 DAIFUKU


2011年、しゃしくえに加入。

ヴァイオリン、ヴォーカル、コーラスなどを担当。